私が描きたいのは「記憶の底の光景」だ。それは、具体的な対象物の描写によるものではなく、色彩と形態を伴って現れた絵肌によって表現される、生の根源に潜むイメージだと考える。
甘味、温もり、湿り気、滑らかさ、匂い、官能性・・・。見る者の五感あるいは六感に訴えかけ、共鳴を起こすようなイメージを喚起させ、聖も性も包含する人間の「生」そのものの痕跡を表現したいと願っている。
人間が抱く静かな慈しみも、身をよじるような悲しみも、狂おしいほどの怒りも、弾ける歓喜も、全て含んでこその美、であると思う。そういう美しさを描きたい。
愛知県美術館
162cm×130cm
キャンバスに油彩
133cm×160cm
麻布・白亜地に油彩
愛知県美術館所蔵